001 「価値観」
There is nothing either good or bad, but thinking makes it so. (Hamlet. U. A. 249-250)
いいも悪いも本人の考え次第。(小田島雄志訳)
|
|
〔出典〕シェイクスピア(1564−1616)の代表作『ハムレット』の一節。ローゼンクランツとギルデンスターン
という友人との会話の中で出て来る言葉。
〔英語の解説〕現代英語の文法でも十分に説明がつきます。中学校で習うeither…A or B「AかBのどちら
か」というお馴染みの熟語が入っています。その前に否定を表すnothingが置かれていることから、「Aで
もなければ、Bでもない」という意味になってきます。内容的には「よくもなければ、悪くもない」というのが
直訳となります。but以下は、「SVOC」の形となります。soは補語の役割を果たします。itは形式目的語。
上記の訳はいわゆる台詞として訳されたものです。これを直訳にすれば「よいことも悪いこともない。考え
方がそうするのである」といった感じになります。
〔内容の鑑賞〕この言葉はよく考えてみると、味わいの深い言葉です。シェイクスピアの時代だけではな
く、まさに今の時代こそ、この言葉が生きていると言えるからです。現代世界はグローバルな視点から見
ると多文化時代となり、私たちは常に異文化と触れながら生活をしています。国際社会での紛争も大き
な視点でみれば、考え方や主義・主張の違いからくるもの多いように思えます。ひとりの人や国にとって
よいことであっても、他の人や国にとっては悪いことかもしれません。また、「雨はいやだな」と思うかもし
れませんが、雨が降らなければ野菜は育つことなく、水不足になるかもしれません。「善と悪」が簡単に
断定できないということを示しているように思えます。
|
|
|